2021年の世界白金需給、供給過剰に転じる見通し=JM社

2021/05/18 14:29:59

◆2021年の白金需給見通し:供給過剰へ転じる
◆2021年の白金需要見通し:自動車触媒需要が増加する一方、投資需要が減少 ◆2021年の白金供給見通し:南アの鉱山生産量が回復

 2021年の世界白金需給見通しは、自動車の排ガス除去装置の触媒に用いられる消費量が増加する一方、投資需要が大幅に減少することで、2020年の20.8トンの供給不足から19.1トンの供給過剰に転じる見通し。

 2020年の白金の投資需要は31.8トン。主に、日本の個人投資家が店頭で購入した白金を裏付けとした上場投資信託(ETF)や、白金地金の購入が増加した。投資家が2019年の米中貿易戦争や2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受け、安全資産として金を購入した流れに支えられた。同時に2015年から2020年3月にかけてドル建て白金価格が下落したことも、白金の投資需要を押し上げた。
 白金は、短期的には環境規制の強化により自動車の排ガス除去装置の触媒需要が増加すると考えられることや、中・長期的にも水素燃料電池の触媒として用いられるため、将来的には投資需要の回復が見込まれる。しかし、20年3月以降はドル建て白金価格が上昇。白金の小売価格が1年足らずに約2倍の価格となり、投資家の利益確定の売りなどが入ったため、白金の投資需要も減少した。2021年の白金の投資需要は9.6トンと減少が予想されている。

 2021年の白金の自動車需要は90.5トンと20年の71.2トンから大幅に増加し、19年と同水準まで回復すると予想される。白金の自動車需要は、白金を多く用いるディーゼル車の市場シェアが減少しているにも関わらず、自動車触媒に用いられる白金系貴金属(PGM)の需要全体に占める割合が増加している。ディーゼル車の白金使用量は世界的な生産量に応じて増加するが、パンデミック前のレベルを少なくとも10%下回っている。しかし、2021年にはガソリン自動車に用いられるパラジウムの一部を白金で代替する動きが強まることが、白金需要の増加に寄与すると考えられる。

 中国の国内自動車メーカーはこの傾向の最前線にいる。中国の企業はPGMの価格に非常に敏感であり、新しいテクノロジーの実装に関しては、国際的な自動車ブランドよりも機敏であるように見える。中国の適合手順に対する最近の変更により、新しい触媒配合物をより迅速に認証できるようになり、代替プロセスが容易になった。

関連ニュース(貴金属)

最新ニュース

※ 当社提供の情報について
本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終判断はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、第一商品は一切の責任を負いかねますことをご了承願います。

※ 本サイトに掲載されている情報の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

ページトップ