6月米FOMC:米利上げ時期が前倒し、量的緩和の縮小に向けた検討に入る

2021/06/17 11:31:58

 米連邦準備制度理事会(FRB)が6月15〜16日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催。政策策金利を年0〜0.25%に据え置き、量的緩和策で米国債などを買い入れるペースを月額1200億ドル(約13兆円)で維持することを全会一致で決定。
 米FOMC後に公表された参加者18人による政策金利見通しでは、過半数の13人が2023年末までに1回以上の利上げを見込んだ。3月会合からは6人増え、「2回利上げ」する想定を示した。22年中の利上げ想定も3月会合の4人から7人に増え、景気過熱リスクに警戒感が広がっていることを映し出した。
 また、パウエル米FRB議長はFOMC後の記者会見で「夏から秋に強い雇用拡大を見込んでいる」と景気の先行きに自信を表明。新型コロナウイルス危機を受けて導入した量的緩和策の縮小に着手するための条件達成に向け「一段と大きく前進するまでは遠いが、景気の改善は続く」とし、今後の会合で具体策を議論すると説明した。

 6月16日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、清算値(終値に相当)後に公表された米FOMC結果が売り材料となり急落。中心限月の期近8月限は一時、前日比52ドル(2.8%)安の1804.40ドルと、中心限月の継続足で5月6日(1781.80ドル)以来1カ月半ぶりの安値を付けた。
 米FOMC参加者の政策金利見通しで利上げ時期が従来の2024年以降から2023年に前倒しされ、「2回利上げ」の想定が示された。さらに、パウエル議長が「量的金融緩和策の縮小について議論を始めた」と明らかにするなど、市場にとっては想定以上のタカ派的な内容となり、米長期金利の指標である10年物米国債利回りが1.594%に上昇。金は保有しても金利収入が得られない資産であるため、金利上昇により相対的な魅力が低下し売り材料となった。また、外国為替市場ではドルが対主要通貨で買われ上昇、主要6通貨で構成されるドル指数が一時91.402と5月5日(91.436)以来1カ月半ぶりの高値を付けたことにより、ドル建てで取引される金に割高感が生じたことも売り材料。
 NY金は16日の急落で200日移動平均線(6月16日現在:1844ドル付近)を割り込んだことから、次の下値のめどは100日移動平均線(同:1797ドル付近)の水準になることが予想される。また、今後は米FRBから量的緩和の縮小の方針がいつ示されるかが注目され、最短では8月下旬の米西部ワイオミング州ジャクソンホールで開催される経済シンポジウムで発表されるとの見方がある。 

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