6月の米雇用統計、米量的緩和の早期縮小観測が高まるまでには至らず

2021/07/05 13:12:24

 市場が注目していた6月の米雇用統計は、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数が前月比85万人増加と、5月の58万3000人増加から伸びが加速し、2020年8月(158万3000人増加)以来10カ月ぶりの大幅増加を記録。
 ただ、非農業部門就業者の業種別では世界的な半導体不足の影響がある自動車業界が減少したうえ、建設業界は3カ月連続で減少。就業者数は新型コロナウイルス過前の水準をなお676万人下回っている。また、失業率は5.9%と5月から0.1ポイント低下し、市場予想の5.7%からも悪化していることで、ニューヨーク市場では「米連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和の縮小を早期に進めるほどの改善ではない」との見方が広がった。
 前述のように6月の米雇用統計で労働市場の改善は確認されたものの、米FRBが現行のゼロ金利政策と量的緩和策を継続するとの見方から、7月2日のニューヨーク株式市場はダウ工業株30種平均が終値で約2カ月ぶりに史上最高値を更新したほか、ナスダック総合指数とS&P総合500種指数も終値で史上最高値を更新した。市場関係者からは「6月の米雇用統計は、株式市場にとってゴルディロックス(適温)な内容」との指摘が聞かれた。

 7月2日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、米雇用統計発表後は売りが優勢となりマイナス圏となる場面もあったが、米長期金利の低下や為替のドル安に支援され、プラス圏に転じた。
 金は保有しても金利収入が得られない資産であり、金利が低下すると相対的な魅力が高まるため、米雇用統計の結果を受けて米FRBによる量的緩和の早期縮小観測が強まらなかったことは支援材料。ただ、米株価が史上最高値を更新したことは、投資家のリスク選好姿勢を強めることが予想され、金相場の上値が抑えられる可能性がある。

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