NY金、米量的緩和の早期縮小観測の台頭で急落

2021/08/10 12:26:57

 ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金相場は、7月の米雇用統計で順調な雇用の回復が示されたことを受け、市場に米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和の早期縮小観測が強まり急落。
 8月6日に発表された7月の米雇用統計で、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数は前月比94万3000人増加と、市場予想の87万人増加を上回り、2020年8月(158万3000人増加)以来の高水準。また、6月は当初発表の85万人増加から93万8000人増加に上方修正された。失業率も5.4%と前月の5.9%から0.4ポイント低下し、2020年3月以来1年4カ月ぶりの低水準となった。新型コロナウイルス危機直後に失業した累計約2200万人のうち7割強が復職。新型コロナウイルスのワクチン普及で経済活動の再開が進み、雇用の持ち直しが続いていることを反映している。
 米雇用統計発表後に米FRB高官からタカ派的な発言が相次いで聞かれた。アトランタ連銀のボスティック総裁とリッチモンド連銀のバーキン総裁は、米経済は急速に拡大しているとの認識の元で、労働市場には改善の余地が残っているものの、物価上昇は既に利上げを開始する判断を支える一つの根拠として十分な水準に達しているとの見方を示した。また、ボストン連銀のローゼングレン総裁は、今後の雇用に関する統計が過去2カ月のように堅調な改善を示した場合、9月の金融政策会合までに量的緩和策の縮小を始められる条件を満たしたと判断でき、秋に開始できる可能性があると語った。

 NY金の中心限月期近12月限の清算値(終値)は6日が前日比36.60ドル(2.08%)安、9日は同45.80ドル(2.53%)安。9日の清算値は1726.50ドルと、中心限月としては3月31日以来約4カ月ぶりの安値水準。また、9日のアジア時間帯での取引では一時、前日比4%超下落し1700ドルの節目を割り込む場面もあった。
 7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果で後退していた量的緩和の早期縮小観測が、7月の米雇用統計の堅調な内容で再び強まったことは、金利を生まない資産である金にとっては売り材料。また、今週発表が予定されている米国の物価統計も好調な結果となるようだと、量的緩和の早期縮小観測を後押しする材料になることが予想される。

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