/アナリストの目

今週のNY金は下落、米FRBのタカ派的姿勢を受け1800ドルの大台を割り込む
1/28/2022 4:17:24 PM

 今週のNY金(1月24日〜28日)は下落。東欧や中東の地政学的リスクの高まりを背景に安全資産としての買いや、エネルギー価格の上昇によるインフレ高進を懸念したインフレヘッジとしての買いが入りNY金指標2月物は1月25日高値1854.20ドルをつけ、2021年11月19日(高値1868.10ドル)以来、3ヶ月ぶりの高値をつけた。

 しかし、26日(日本時間27日午前4時)に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)で次回3月の米FOMCで米連邦準備制度理事会(FRB)による政策金利の引き上げが示唆されたことや、記者会見でパウエル米FRB議長がタカ派的な姿勢を示したことで、対主要国通貨でのドル高が進行。ドル建てNY金は他国通貨を保有する投資家から見たときの割高感が強まったことや、米FRBの金融引き締めのペースに不透明感があることから、手じまい売りなどに押されて急落、1800ドルの大台を2週間ぶりに割り込んだ。

 米FRBは、国債など資産購入を通じた量的金融緩和策を3月半ばに終了すると共に、約9兆ドルに膨張した保有資産の縮小についても「次回とその次」の会合で議論すると述べ、バランスシートの縮小に前向きな姿勢を示した。

 米FRBは、利上げ開始後に保有資産を減らす量的引き締め(QT)について、資産売却よりもむしろ、満期で償還される国債などの再投資を停止することで行うとの見通しを示し、国債の売却により金利が引き上げられるとの市場の懸念が後退。バランスシートの縮小により金融市場の過剰流動性が吸収されるならば、インフレ抑制のために必要となる米FRBの政策金利引き上げ幅が縮小する可能性もある。
一方で、パウエル米FRB議長は1月11日の上院銀行委員会で、想定以上に高インフレが長引けば、「より多くの利上げを行う必要がある」と発言していることから、米FRBが2022年内に5回利上げするとの観測を現在の米債券市場は織り込んでいる。

 米FRBによる政策金利の誘導目標の引き上げは、金利のつかない資産である金にとっては弱材料だが、インフレ高進は金にとっては強材料。米FRBの利上げ回数は、今後のインフレ見通し次第で変化するが、米国の消費者物価指数(CPI)は直近の昨年12月、前年同月比7.0%上昇と1982年以来の高い伸びを記録している。また、ロシアとウクライナ間の緊迫化を背景としたエネルギー需給への懸念が、中・長期的なインフレ圧力を高めている。

 ロシアとウクライナを巡る政治的な緊張の影響が、欧州地域のエネルギー問題にまで波及しており、ロシアへの経済制裁が実施されれば、欧州への天然ガスや石炭などの輸出が滞る他、中東地域からの欧州への原油や天然ガスの輸出が必要となるため、世界的なエネルギー価格の急騰は避けられないことが懸念材料。ロシアの外交チャンネルが閉ざされない限り、ロシアが積極的にウクライナへと開戦することは考え難いが、偶発的な衝突も懸念される。

 来週は2022年の中国の春節が2月1日から始まることや、2月3日の英国の金融政策委員会(MPC)での利上げ実施見通し、2月4日に米雇用統計を控えて全般的に買いが手控えられ、短期的に急落する可能性がある。
 しかし、当面は東欧の緊張状態が続くことから、エネルギー問題は燻り続ける。また、オミクロン株の世界的な流行によるサプライチェーン(供給網)のひっ迫もあり、エネルギー価格上昇を背景としたインフレは米FRBの想定以上に長期化する可能性もあるためNY金が下落した場面では、安全資産としての買いやインフレヘッジとしての買いに支えられる押し目買いの展開が見込まれる。
 



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