今週のNY金は上伸、世界的な商品相場の圧力が継続3/11/2022 5:42:22 PM
今週(3月7日〜11日)のNY金は上伸。ウクライナ情勢を見た地政学的リスクの上昇により、安全資産としての買いが入ったほか、世界的な資源価格の上昇により、今後もインフレ圧力が継続するとの見方から、インフレヘッジとしての買いが入り上伸した。NY金の指標4月物は8日高値2078.80ドルとなり、期近ベースでは2020年8月以来、約1年半ぶりの高値をつけた。
米労働省が10日に発表した2月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比7.9%上昇。伸びは前月(7.5%)から勢いを増し、1982年1月以来約40年ぶりの高水準となった。しかし、今回発表された2月のCPI統計には、2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻を背景に急騰した原油やニッケル、パラジウム等の資源価格の影響は含まれていない。
世界各国の政府や企業がロシアに対する経済制裁を実施。ロシアは米国とサウジアラビアに次ぐ世界第3位の原油生産国であり、同国からの原油輸出が滞れば、世界的に原油の供給不足が発生するとの懸念から、原油価格は急騰し、7日には一時1バレル=130.50ドルの高値を記録、年初から約70%上昇した。
その後は、原油価格の急騰を受け、石油輸出国機構(OPEC)加盟国のアラブ首長国連邦(UAE)が増産支持を表明したことをきっかけに原油価格は下落したが、依然として高止まりしている。
また、ニッケルやパラジウムなどの金属価格も急騰。ロシアは、自動車産業で広く使用されているニッケルやパラジウムなどの世界最大の供給国。ニッケルは電気自動車(EV)のリチウムイオン電池(LIB)製造に必要であり、パラジウムはガソリンエンジン及びディーゼルエンジンに搭載される触媒コンバーターに使用される。
ロシアは10日、通信機器や医療機器、自動車用品、農業機器、電気機器、ハイテク機器および一部の林産物の輸出を2022年末まで禁止すると発表。西側諸国の制裁への対抗措置で、原油や天然ガス、パラジウムなどの資源を含んでいないため、相場への影響は限られた。しかし、仮にパラジウムの供給が制限された場合、自動車メーカーは代わりの供給元を探さなければならなくなるとの懸念が、相場を押し上げた。
パラジウムは産地が偏っており、世界最大のパラジウム生産国のロシアの採掘量は約40%、南アフリカ共和国が若干下回るが、ほぼ同水準。ロシアと南アの両国で、世界のパラジウム採掘量の約8割を占める。しかし、南アは近年、国営電力会社エスコムの施設の老朽化に伴う電力不足の影響で増産は難しい。
また、ニッケルの採掘量は世界生産の約1割に留まるが、ロシアの資源大手ノリリスク・ニッケルが高純度品で高い世界シェアを握り、供給者として存在感が大きい。
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