/アナリストの目

今週のNY金は米FOMCを挟み上下動、安全資産としての買いが下支え
6/17/2022 5:31:28 PM

今週のNY金は上下動。
 米労働省が10日に公表した5月の米消費者物価指数(季節調整なし)は前年同月比8.6%と上伸と市場予想(8.3%上伸)を上回り、1981年12月の8.9%に次ぐ40年5カ月ぶりの高い伸びを示した。4月の米CPIの伸びが鈍化したことで、米国の物価上昇圧力がピークを迎えた可能性があるとの見方が高まっていた市場へと冷や水を浴びせた格好となり、米株価は下落する一方、安全資産として金は買われて上伸した。




 その後は、14日、15日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利上げ観測が高まったことで、金利を生まない資産である金は売られて下落。しかし、14日、15日に開催された米FOMCでは、米連邦準備制度理事会(FRB)が0.75%の利上げを決定。政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の現状の誘導目標0.75〜1.00%から、1.50〜1.75%に引き上げることを決定した。
 米FOMCの参加者18人による中長期の経済・金利見通しも発表されたが、2022年の実質GDP成長率の見通しは1.7%と、前回3月の2.8%から下方修正。一方で、2022年末のFF金利の中央値の見通しは3.4%と前回の1.9%から大幅に上方修正。年内残り4回の米FOMCでこの水準まで金利を引き上げるには、0.75%や0.50%の利上げが複数回必要となる。




 利上げは短期的にはドル高要因だが、中・長期的に金利引き上げは景気を冷やす。このため、米国の景気後退懸念が高まると共に、対主要国通貨でのドル安が進行。また、16日にはスイス国立銀行(中央銀行)とイングランド銀行(英中央銀行)が利上げを決定。各国主要中銀がインフレ抑制のために金融引き締めを実施することで、世界経済の減速や景気後退(リセッション)につながるとの懸念が台頭。対主要国通貨でのドル安が進行し、ドル建てNY金は買い戻される展開となった。
 米FRBは、今後数カ月で景気が大幅に減速し、失業率が上昇すると予想している。パウエル米FRB議長は米FOMC後の記者会見で、現在のインフレの微妙な詳細を精査する時期ではなく、米FRBはインフレが「納得できる形」で低下するまで、金融政策の引き締めを続ける必要があると強調した。




 また、米労働省が14日発表した5月の米卸売物価指数(PPI)は前年同月比10.8%上昇。4月の10.9%上昇からは鈍化したが依然として高水準。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟の産油国で構成する「OPECプラス」は、6月2日のオンラインの閣僚級会合で追加増産に合意したが、サウジアラビアは6日に7月からのアジア向け原油販売価格を大幅に引き上げたことで、NY原油の先物価格が上伸。また、米国は6月〜8月にかけてドライブシーズンを迎えてガソリン価格の先高感が強まっている。また、新型コロナウイルス感染症に対する都市封鎖(ロックダウン)が解除された中国でのエネルギー需要の回復期待も原油を価格を押し上げ、世界的なインフレ見通しを強めている。