今週のNY金は上伸、米FRBの積極利上げ観測後退などを受け7/29/2022 3:21:09 PM
今週(25日〜29日)のNY金は上伸。
米連邦準備制度理事会(FRB)は27日、米連邦公開市場委員会(FOMC)声明を発表。政策金利となるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を75ベーシスポイント(bp)引き上げ、2.25%−2.50%とした。市場で懸念されていた100bpの引き上げではなかったため、米債券市場では長期金利の指標となる10年債利回りが低下。金利を生まない資産である金は米FOMC声明発表後に買い戻されて上伸した。
その後は、米商務省が28日発表した2022年第2四半期(4−6月)の実質GDP(国内総生産)速報値は年率換算で前期比0.9%減と、前期の1.6%減より下げ幅を縮小したが、2四半期連続でのマイナス成長となった。2四半期連続のマイナス成長は一般に「テクニカル・リセッション(技術的な景気後退)」と呼ばれ、機械的に景気後退局面とみなされることから、市場では米FRBによる積極利上げ観測が後退。対主要国通貨でのドル安が進行し、ドル建てNY金は割安感からの買いも入り週末に上伸した。
パウエル米FRB議長は声明発表後の記者会見で、2回連続で0.75%の利上げを決めた理由について「インフレを抑えることに注力する」と説明した。その上で、米FRBはインフレが家計に与える影響を痛感しており、インフレ率が低下しているという「説得力のある証拠」が示されるまで手綱を緩めることは無いとした。
パウエルFRB議長は2020年8月のジャクソンホール会議で、物価上昇率が2%を一時的に超えることを容認するなど政策運営方針の修正を説明。柔軟な平均インフレ目標(FAIT)と呼ばれるこの方針においては、委員会は長期にわたって平均2%のインフレ率を達成することを目指すとした。
現在、物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で、期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、期待インフレ率が目標となる2%よりも高い水準であるため、一段の利上げが実施される可能性がある。ただ、期待インフレ率が現在の水準で留まるなら、次回の米FRBの利上げ幅は0.75%よりも狭くなり、今後の利上げペースは鈍化すると予想されている。
世界的な景気減速によりインフレ圧力が低下するとの見方も台頭。国際通貨基金(IMF)は26日、世界経済見通しを公表し、世界の経済成長予測を再び下方修正。2022年の世界の実質経済成長率予測を4月時点の3.6%から3.2%に下方修正している。
ロシア国営ガスプロムは26日、ロシアから欧州に天然ガスを送る主要パイプライン「ノルドストリーム1」の供給レベルを現在の半分、約20%にまで削減すると発表。一方、欧州連合(EU)加盟国は26日、ロシアからのガス供給が停止された場合に備え、ガス使用量を削減することで合意。EU加盟国は8月から来年3月までの間、ガス使用量を自主的に15%削減する。
この一連の流れから、欧州ガス市場で、代表的な指標となる「オランダTTF」の先物価格が急伸。27日には4カ月ぶりに1メガワット時あたり200ユーロを上回った。
欧州委員会は5月18日、ロシア産化石燃料依存からの脱却計画「リパワーEU」の詳細に関する政策文書と関連改正法案を発表していたが、これは2030年までを目標とした計画のため、今回の問題に対応できる内容ではない。日本でも7月11日に経済産業省が「節ガス」制度の検討に入っており、欧州のガス価格高騰は、日本の電力会社やガス会社の調達にも影響する可能性がある。
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