/アナリストの目

今週のNY金は上伸、台湾を巡る米中関係の緊迫化を背景に
8/5/2022 3:48:04 PM

今週(8月1日〜5日)のNY金は上伸。
 ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発する中国の習近平政権は4日、予告通り台湾付近で軍事演習を開始。台湾海峡で過去最大規模の軍事訓練を行い、周辺海域に複数のミサイルを発射。日本の防衛省は日本の排他的経済水域(EEZ)内に5発が落下したと推定した。また、中国外務省は5日、台湾に関して主要7カ国(G7)外相が出した声明に対し、関係国や大使に厳正に抗議したと表明。日本へも北京の日本大使を呼び厳正に抗議したとしている。

 G7外相は3日の声明で、ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発する中国の軍事的威嚇行為について「攻撃的な軍事行動の口実に訪問を利用することは正当化できない」と批判し、台湾海峡付近の緊張を平和的に解決するよう求めていたが、中国軍は軍事演習を強行。演習は7日まで実施される予定となっている。 米中関係の緊迫化を背景に、安全資産として買われた金は上伸し、指標12月限は4日に1トロイオンス=1800ドルの大台を回復した。




 ただ、世界的な景気後退によりインフレが抑えられるとの見方が台頭していることや、原油価格の下落を眺めた売りが金相場を圧迫した。
 財新/マークイットが1日発表した7月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.4と前月の51.7から低下し、市場予想の51.5を下回った。7月に中国国家統計局が発表した中国の2022年第2四半期(4‐6月期)のGDP(経済成長率)は0.4%と低い伸びに留まり、同国のエネルギー需要の減少見通しが強まっている。また、イングランド銀行(英中央銀行)は4日の金融政策委員会(MPC)で0.50%の利上げを決定したが、英国が今年10−12月期から2年近い景気後退局面に入るとの予測を発表。物価上昇率も13%に達し、2023年末までは高い水準で続くとの見通しを示している。

 石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」は3日に開催した閣僚級会合で、9月に日量10万バレルの追加増産を行うことで合意したことも原油価格を押し下げた。なお、ロシア産原油は、欧州向け輸出は減少したが、インドが輸入を拡大したことに相殺され、大方の市場予想に反し国際的な流通量は寧ろ増加している。OPECとしては世界的な供給過剰を招く可能性があるため積極的に増産したくないが、産油国側が最低限の配慮は示した形になる。