/アナリストの目

≪米国、デフォルトか回避か?その時の金は?その後の金は?≫
7/28/2011 5:47:40 PM

米国のデフォルトが近づいている。
民主党と共和党の溝が深く、連邦政府債務枠の引き上げ交渉が難航している。
26日(日本時間午前10時)のオバマ大統領のTV演説で民主党と共和党の溝が深いことが確認された。
政治的なパフォーマンス色が強い内容であったが、予想以上に難航していることが伺える。
それでもマーケットは「合意」すると見られている。

≪デフォルトになった場合・・・・金暴落か?≫
「合意」すると見られていることがかえってリスクを大きくする可能性があるのではないか。
「デフォルト」を起こすと思っていないところに、「デフォルト」となれば予想外の出来事であり、
それこそ「金融市場が「パニック」に陥る。米国債は暴落、NYダウも暴落、ドルも暴落・・・・
パニック的なトリプル安が米金融市場を襲う。世界中の債券市場、株式市場においても同様であろう。
円は急騰し、76円25銭の史上最高値を更新することだろう。

その時、金は急騰するのか????
理屈では世界の金融不安、経済不安から「安全資産の金」に買いが集まると考えられるかもしれないが、
そうならないのではないかと思う。逆に暴落することさえあるのではないかと思う。
金価格を動かしているのは「ヘッジファンド」である。
現在、ヘッジファンドは大量に金を買い越している。昨年12月以来の買い越し幅となっている。
欧州のソブリンリスクと米国の財政問題から金に資金が流入しているが、基本的には「デフォルト」は起こらないことを前提としての買いである。
金融市場がまともに動いていることを前提にしている。
ところがデフォルトによる債券、株暴落となればヘッジファンドの損失は計り知れない額となってくるはず。
米債券市場の一日の出来高は金市場の100倍の規模がある。株市場も金市場より遥かに大きい。
仮に金が上昇し利益が出たところで債券や株の損失の方が遥かに大きいのは簡単に想像がつく。
債券・株の損失を補うための金売却が出る可能性がある。
また、ヘッジファンドは顧客から集めた資金は元本部分であり、レバレッジをかける部分は保有している資産を担保に資金を借りて運用している。
その資産が債券である。債券市場が暴落するなら金利が上昇し、ファンドの資金調達コストは高まる。
極端に言えばファンドは資金調達が出来なくなり運用が凍結されてしまう可能性がある。
実際に08年のリーマンショック(100年に一度といわれる金融不安)でそれが起こった。
金融不安ならば金は買われてもおかしくないところ、大幅に下落してしまった。
ファンドの投資が凍結状態になったためだ。
パニックが起こった場合、ファンドは投資先を探すのではなく出来るだけリスクから逃げ出すだろう。

≪引き上げ合意でデフォルト回避≫
現在、金が買われている一番の材料は米国の金融不安である。
債務上限引き上げで合意され「デフォルト」は起こらないとする見方が大勢を占めている。
金融システムに支障が起こらないことを前提にしたうえで金に資金が流入している。
「デフォルト」は起こらないと考えているのに、金に資金が流入しているのは他に資金の持って行き場が無いのだろう。
債券・株式・為替市場では「デフォルト」の懸念増大から不安定で資金を投入できる時期ではない。
今買われているのはスイスフラン・円・金であり、円債、独債も買われているらしい。現状での安全資産といえる。

「デフォルト」は回避されると見られているものの、8月2日の期限へ向けて「合意」出来ないまま確実に時間が過ぎていることで、
もしもの不安が増大、金への資金流入も大きなものとなっているだけに、「合意」された時の利食い売りは大きいものとなってくるかもしれない。
実際、ファンドの買い越し幅は7月12日時点で219,927枚となっており、昨年12月以来の高水準である。
それから一週間経ち、価格が更に上昇していることを考えればファンドの買い越し幅は更に増えているだろう。
24〜25万枚の買い越しとなっている可能性もある。もしそのような買い越し幅となっているならリーマンショック以来の動きの中でも最大級に買っていることになる。
(リーマンショック以降の最大は09年11月24日の262,331枚)
「合意」が実現し、とりあえず「デフォルト」が回避されれば、ファンドの利益確定の売りにより相応の調整安を入れる可能性があるのではないかとみている。

その場合、1550〜1500ドル辺りへの調整局面と予想している。
6月後半に1500ドルを下回る場面もあったが、1500ドル割れでは確実に実需の買いが入っていることもあり1500ドルを大きく下回ることは無いだろう。
国内では為替にも影響するが、最大で下げて3750円。円安に振れれば3800円半ば辺りへの調整局面があってもおかしくないと予想している。
現在の値段から見れば、そんなに大きく下落するのかと思われるかもしれないが、5月2日にNY市場で1577ドルの高値を付け最高値更新した後、
4日間で115ドルの下落を演じ、連休明けの東京市場では、一日で250円の急落となったことがある。
その時よりも値位置が高く、ファンド玉の買い越し幅も多い状況を踏まえて考えれば、ありえないことではない。

どちらにせよ、目先的に買われすぎで高値警戒感が強まっているのは確かである。
ファンドも利益確定を急げばここは一旦調整局面となるのではなかろうか?

「デフォルト」なら金は大幅安。「合意」なら調整安と見ている。

予測としては後者の方の調整安局面となるのではないか。

調整した後は、再び上昇を開始し、更なる高値を示現することだろう。
米連邦債務残高の引き上げで合意されようとも内容によっては米国債の格付けの引き下げの懸念があり、
3ヶ月以内に引き下げされる可能性が高い。
米証券会社によれば「一時的デフォルト」よりも「格付け引き下げ」の方が、金融、経済における影響は大きいと見られている。
また、収まりのつかない欧州のソブリンリスク、米国の金融緩和期待など金を押し上げる材料には事欠かない。

将来的に金は大きく上昇し、年末には考えられないような高値を示現している可能性がある。
ただし、その前に相応の調整場面が訪れそうだ。

≪このチャートをどう見る?≫