更新日 2021.6.4
ドル指数とは?基軸通貨米ドルの強弱を見る指標

米ドルは基軸通貨として全世界で取引されており、米ドルを中心に為替の世界は動いています。ただし、米ドルレートは、ドル・円やユーロ・ドルなどの特定の通貨ペアではなく、ドルの総合的価値を見る必要があり、それにはドルインデックス(ドル指数)を用います。
複数の通貨に対する米ドルレートを指数化
ドル指数はユーロやポンド、円など複数の通貨に対する、米ドルの為替レートを指数化したものを指し、米ドルの相対的な価値を表します。
ドル指数は基軸通貨の米ドルの強弱を見ることであり、米経済だけでなく、世界経済の動向にもつながっています。
複数の機関が算出
インターコンチネンタル取引所(ICE)や米連邦準備制度理事会(FRB)、国際決済銀行(BIS)などの複数の機関がドル指数を算出しており、各機関で採用通貨や通貨ごとの加重平均の割合は異なっています。
ドル指数としてよく知られるのはICE
外国為替市場の取引参加者が最も目にするドル指数はICEが公表しているものです。ICEのドル指数は先物として上場されており、リアルタイムで更新するため、更新頻度の低いFRBやBISのドル指数に比べるとチャート分析などで使い勝手が良いものです。
ICEのドル指数:ユーロの比率が高い
ICEのドル指数は、ユーロ、日本円、英ポンド、カナダドル、スウェーデンクローナ、スイスフランの6通貨で構成されています。
構成通貨の加重平均比率は

- ユーロ 57.6%
- 日本円 13.6%
- 英ポンド 11.9%
- カナダドル 9.1%
- スウェーデンクローナ 4.2%
- スイスフラン 3.6%
加重平均比率を見て頂いてもわかる通り、ICEのドル指数はユーロの比率が60%弱と非常に高いため、ユーロ・ドルの影響を受けやすくなっています。
出典:ICE(ドル指数)
米ドルと金は概ね逆相関の関係にあり、米ドル上昇⇒金価格下落、米ドル下落⇒金価格上昇といった傾向がみられます。米ドルと金が逆相関の関係にあるのは、米ドルがペーパーマネーの代表であり、金は実物資産の代表だからです。
上記のグラフは2020年1月から21年5月までのNY金とドル指数の終値の動きを表したグラフです。NY金価格はニューヨーク商品取引所(COMEX)の中心限月の価格データ。ドル指数はICEの終値のデータを使用しています。
出典:ICE(ドル指数)
ドル指数、2017年1月初旬以来の高値
新型コロナウイルスの感染拡大を背景に投資家がリスク回避姿勢を強め、安全資産とされる債券が買われ、長期金利の指標となります10年物米国債利回りが一時、過去最低の0.6%台まで低下したことを受け、ドルが対主要通貨で売られました。また、米連邦準備制度理事会(FRB)当局者による追加利下げや量的緩和の購入対象資産を拡大の必要性を示唆する発言もドル売り材料となり、ドル指数は終値で2020年3月9日に94.895と、2018年9月26日(94.193)後半以来の安値を付けました。
しかし、その後は新型コロナウイルスの感染拡大を背景にした金融市場の動揺を受け、投資家が株式などのリスク資産を売る一方、流動性の高いドル資金を確保する動きが強まりました。さらに、米債券が売られ長期金利が上昇したこともドル買い材料となったことから、ドル指数は急反発し、3月20日には102.817と、2017年1月3日(103.210)以来の高値を付けました。
NY金、2019年12月中旬以来の安値
新型コロナウイルスの感染拡大による世界の景気後退懸念を背景に、投資家がリスク回避に動きました。安全資産とされる金は本来ならリスク回避による資金の逃避先として買われますが、2020年3月初旬は世界的に株価が暴落したことで、金は投資家が株での損失補てんを目的とした換金売りに動きました。さらに、金融危機に備えた「有事のドル買い」が台頭し、ドル建てで取引される金に割高感が生じたことでも売られました。
NY金は2月24日に付けた2013年2月初旬の高値1676.60ドルから急反落。3月18日には1477.90ドルと2019年12月12日(1472.30ドル)以来の安値を付けました。
出典:ICE(ドル指数)
ドル指数、2018年5月中旬以来の安値
米南部や西部を中心に新型コロナウイルスの感染者が急増。2020年7月16日には新規感染者数が過去最多を更新したことから、米景気回復の失速懸念が浮上しました。
米連邦準備制度理事会(FRB)が7月29日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明で、新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う景気回復の失速を警戒しつつ、経済を支えるため「あらゆる手段」を用いることを再確認したことを受けて、当面は緩和政策が継続するとの観測が強まりました。
20年4月~6月期の米実質国内総生産(GDP)が前期比32.9%減と過去最大の減少幅を記録し、新型コロナウイルスの感染拡大による経済への打撃が改めて示されました。
欧州連合(EU)首脳は7月21日、新型コロナウイルス危機後の経済再建に向けた7500億ユーロの対策で合意したことを受け、EU域内の景気回復期待が広がりました。
以上の要因がドル売り材料となったうえ、加重平均比率の高いユーロ高の進行により、8月6日には終値で92.788と、2018年5月中旬以来の安値水準に急落しました。
NY金は史上最高値を更新、2000ドルの節目を突破
“2020年7月、史上初の1900ドル突破”
欧州連合(EU)首脳会議は7月21日、新型コロナウイルス危機対応で7500億ユーロの経済再建策について合意。これを受けて外国為替市場ではドル安・ユーロ高が進行し、ドル建てで取引される金に割安感が強まり買いが活発化しました。
米政府は21日、知的財産権保護を理由に在ヒューストン中国総領事館の閉鎖を要求。これに対して中国が武漢にある米総領事館に閉鎖を命じる報復の検討に入ったと伝わったことを受けて、米中関係の一段の悪化への警戒感が広がり、安全資産として金が買われました。
米労働省が23日発表しました週間新規失業保険申請件数が141万6000件と前週から10万9000件増加し、労働市場の回復が遅れるとの懸念から、外国為替市場でドル安・ユーロ高が進行しました。
新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた経済を支えるため、世界的に低金利環境が当面続くとの観測が、金利を生まない資産である金への資金流入を促したことから、7月27日には史上初となる1900ドル台に乗せました。
“2020年8月、史上初の2000ドル突破”
7月31日に発表されました20年4月~6月期のユーロ圏実質GDP(域内総生産)速報値は前期比12.1%減と米国に続いて過去最大の下げを記録したことから、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な景気不透明感の強まりを背景に買われ、史上初となる2000ドルの節目を突破しました。
その後も世界的に金融緩和策が長期化するとの見方が強まる中、為替のドル安が進行したうえ、金利を生まない資産である金に買いが引き続き入ったことから上昇。8月6日には終値での史上最高値2069.40ドル、7日には取引時間中の史上最高値2089.20ドルを付けました。
出典:ICE(ドル指数)
ドル指数、2018年4月中旬以来の安値
2020年12月17日に終値で20年1月7日以来となる90の節目を割り込みました。
米与野党の追加経済対策の協議進展を背景に投資家のリスク選好意欲が改善しドルが対主要通貨で売られました。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月15~16日開催した連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、「雇用最大化と物価安定の目標に向けて著しく前進するまで」と現行のペースで資産購入を増やすと説明し、量的緩和の長期化を示唆したこともドル売り材料となりました。
その後、米追加経済対策と英国と欧州連合(EU)の通商協議の先行きに不透明感が強まり、安全資産としてドルが対主要通貨で買われたことで90の節目を回復しました。しかし、12月24日に英国とEUとの通商協定合意、27日には米国の追加経済対策成立で有事に買われやすいドルが対主要通貨で売られました。
2021年明けは、中国人民銀行(中央銀行)が1月5日、人民元の対ドル基準値引き上げを発表したことがドル売り材料となり、1月7日には終値で89.826と、2018年4月17日(89.516)以来2年9カ月ぶりの安値を付けた。
NY金、2020年9月中旬以来の高値
新型コロナウイルス危機対応の米追加経済対策の合意期待や、12月4日に発表されました20年11月の米雇用統計の低調な内容を背景に為替のドル安基調が継続。ドル建てで取引される金は割安感から買われ、12月8日の終値は1874.90ドルに上昇しました。
その後、米国での新型コロナウイルスワクチンの早期普及への期待を背景にリスク回避の金需要が後退し反落しました。
しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月15~16日に開催しました連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、米国債などを買い入れる量的緩和策を「雇用最大化と物価安定の目標へ十分前進するまで続ける」方針を発表したことを受けて、外国為替市場ではドル安・ユーロ高が進行。また、米追加経済対策法案成立への期待が高まっており、大規模な財政出動による物価上昇観測からインフレヘッジとしての買いも入り、12月17日の終値は1890.40ドルに上昇しました。
2020年末から2021年明けにかけても堅調に推移。1月5日には1954.40ドルと、終値としては20年9月18日(1962.10ドル)以来4カ月ぶりの高値を付けました。
米FOMC結果を背景とした金融緩和の長期化観測に加えて、新型コロナウイルス感染拡大に対応する米追加経済対策が成立し、ドル安観測が浮上していることが支援材料となりました。
また、1月5日に行われる米上院多数派を決する南部ジョージア州での2議席をめぐる決選投票が波乱要因として警戒されており、安全資産としての金買いが入ったことも相場を支えました。
出典:ICE(ドル指数)
ドル指数、2020年11月下旬以来の高値
米議会予算局(CBO)は2月1日に長期経済見通しを公表。実質GDP(国内総生産)が2021年半ばに新型コロナウイルス危機前の水準を回復すると予測しました。一方、2月2日に発表されました2020年のユーロ圏実質GDP(域内総生産)速報値が前年比6.8%減と7年ぶりのマイナス成長を記録しました。さらにユーロ圏では21年1~3月期も低成長が続き、景気回復ペースは米国に大きく後れるとの見方が広がりました。
上記の要因がドル買い・ユーロ売り材料となり、ドル高・ユーロ安が進行。ドル指数は終値で1月5日の89.436から、2月4日には91.529に上昇しました。
3月5日に発表されました2月の米雇用統計で、景気動向を反映する非農業部門就業者数の増加幅が市場予想を大幅に上回りました。これを受けて米景気回復期待が広がり、米長期金利の指標となります10年物米国債利回りが2020年2月中旬以来の高水準に上昇しました。
また、米議会上院が3月6日、新型コロナウイルス危機を受けた1兆9000億ドル規模の追加経済対策法案を一部修正し可決したことも、米景気回復期待を強める材料となり、ドル指数は終値で3月8日に92.323と、2020年11月23日(92.505)以来の高値を付けました。
NY金、2020年4月上旬以来の安値
2021年1月5日の米ジョージア州の上院選決選投票で民主党が2議席を獲得し、上院でも多数派を確保する見通しになったことから、米長期金利の指標となります10年債米利回りが大幅に上昇し、2020年3月以来となる1%台に上昇しました。
金は保有しても金利収入が得られない資産であるため、金利が上昇すると相対的な魅力が低下し、売られやすくなります。
また、米長期金利の上昇を背景にドルが対主要通貨で上昇したことに伴う割高感も売り材料となり、1月8日の終値は前日比78.20ドル(4.09%)安の1835.40ドルと暴落しました。
その後、外国為替市場では米経済の方がユーロ圏経済より早くコロナ禍から回復するとの見方を背景にドル安・ユーロ高が進行。また、バイデン米政権による追加経済対策への期待から米株価が上昇したことから下落し、2月4日には1791.20ドルと2020年11月30日以来となる1800ドル割れとなりました。
2月中旬以降も米長期金利の上昇基調が継続したことで、金利を生まない資産である金の相対な魅力が低下し売りが促されました。また、外国為替市場では米長期金利の上昇などを背景としたドル安基調が継続し、ドル建てで取引される金は割安感からも売られ急落し、1700ドルの節目を割り込みました。3月8日には終値で1678ドルと、2020年4月3日(1645.70ドル)以来の安値を付けました。
出典:ICE(ドル指数)
ドル指数、4月から下落基調
2021年3月中旬から後半にかけてドル指数が上昇。米系ヘッジファンドの損失問題を巡って懸念が広がる中、ドルに対する質への逃避が見られました。また、財政刺激策や新型コロナウイルスワクチン接種の進展により、米国が世界の景気回復をリードするとの見方が広がり、31日には終値で93.232に上昇。
しかし、その後は日本勢を中心とした海外投資家による債券買いで、長期金利の指標となります10年物米国債利回りが低下。さらに、5月7日に発表されました4月の米雇用統計が予想外に低調な内容となったのに続き、14日発表されました4月の米小売売上高と18日に発表された4月の米住宅着工件数も市場予想を下回る結果となり下落。ドル指数は終値で18日に90を割り込みました。
さらに、5月25日には米連邦準備理事会(FRB)当局者が緩和スタンスへの支持を表明する中、米長期金利が低下したことで、ドル指数は終値で89.639と、1月初旬以来の安値を付けました。
NY金、4月から上昇基調
数カ月にわたり金相場の重しとなっていました長期金利の指標となります10年物米国債利回りが落ち着きを示しており、金利を生まない資産である金の相対な魅力が高まり買いが促されました。また、米長期金利の落ち着きなどを背景とした為替のドル安基調により、ドル建てで取引される金は割安感からも買われ上昇。
終値で5月6日に1800ドルを突破した後も上昇基調を継続し、28日には1905.30ドルと、1月初旬以来の高値を付けました。


